知ってるようで知らない?乳酸の話

2021年6月16日

皆さんは運動して疲れが溜まった時に、「乳酸が溜まってきたな」と聞いたことはないですか?

TVのスポーツ番組なんかでよく言ってるんじゃないかなと思うのですが、、、

しかし、今ではそれが間違った解釈であることが分かってきたのです。

要するに、乳酸は疲労物質ではないということです。

そもそも乳酸ってなに?

まず、そもそも乳酸って何なのかということですが、

乳酸は、糖質が解糖系(嫌気性代謝)で代謝・分解されてできる生成物です。

身体の中では、筋肉でエネルギーを作る際に、糖(グリコーゲン)が分解されてできます。

嫌気性代謝とは、酸素を消費しないエネルギー代謝のことで、細胞への酸素供給が需要よりも少ない場合に起こります。

身体には乳酸を一旦中和させてから、ミトコンドリアで参加してエネルギー源として再利用する働きがあります。

しかし、激しい運動を行い、乳酸の生成が消費を上回ると乳酸が溜まった状態となるのです。

 

エネルギー発生の仕組み

次に、人間のエネルギー発生の仕組みですが、解糖系(嫌気性代謝)では、筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、筋肉に蓄えられたグリコーゲンをピルビン酸から乳酸に分解します。このエネルギー発生の仕組みは乳酸性機構と呼ばれており、血液中に増えた乳酸の量を測定し体内に急激にその量が増え始めた値(乳酸性作業閾値 LT: Lactate Threshold)は、運動強度の目安として用いられています。これはかなり個人差があります。

以前までの乳酸に対する一般的な認識は、激しい運動をした後に蓄積することから「乳酸=疲労物質」とされており、乳酸は悪いものとされてきました。

しかし、最近では乳酸が作られる過程で発生する水素イオンなどの作用で、筋肉のpHバランスが酸性に傾くこと(アシドーシス)が疲労の一因と考えられています。むしろ、乳酸には筋肉からカリウムが漏れ出して筋収縮を阻害することを防ぐ働きがあるとも言われているので、疲労を防ぐ物質であると捉えることもできます。

また、乳酸には血管新生や傷の修復促進、ミトコンドリア(酸素を利用してATPを産生する)新生、遺伝子発現調節などの働きがあることが言われています。

さいごに

乳酸についてお分かりいただけましたか?

乳酸が疲労物質であるという認識が間違ったものであるということを覚えて頂ければ問題ありません。

むしろ、乳酸は身体の中で重要な働きをしてくれていたんですね。

今まで乳酸を悪者扱いしてきましたが、実際は私たちの味方であるのかもしれませんね。

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